Amster Rothstein and Ebenstein, LLP - Intellectual Property Law

いよいよ電子ディスカバリ規則が公式に始動(3) (only available in Japanese)

- マイケル V. ソロミタ
Author(s): アムスター, ロススタイン&エーベンスタイン法律事務所 パートナー、米国特許弁護士

米国における知財訴訟実務の最前線 vol.1

いよいよ電子ディスカバリ規則が公式に始動(3)

マイケル V. ソロミタ アムスター, ロススタイン&エーベンスタイン法律事務所 パートナー、米国特許弁護士

電子ディスカバリに関する連邦規則の改定について、注意点を前回に続き説明します。

文書請求および召喚状

改定は、書面による文書提出要求の一部としてESI(Electronically Stored Information:電子保存情報)を要求できると 明示しています。要求先は、相手方当事者あるいは召喚状にて召喚される第三者です。提出要求を行う当事者が、当該 ESIの提出形式を指定する場合もあります。要求を受けた当事者は指定された形式を受け入れるか、あるいは異議を申 し立てます。もし異議を申し立てた場合は、代わりの形式を提案する必要があります。両当事者が形式について合意する か、裁判所が別途命令する場合を除き、要求を受けた当事者は、従来保存されている形式、もしくは合理的にその情報が 使用できる形式で、当該ESIを提出しなくてはなりません。つまり当事者間で提出形式(例:検索可能なTIFF形式)について 合意が得られず、裁判所が別途命令しない場合は、要求を受けた当事者は通常業務において保存している形式、あるい は合理的に使用できる形式で、要求されたESIを提出することになります。

どのESIがどのような形式で保存されているのかについて、訴訟の早い段階で、クライアントがしっかりと弁護士と討議し ておけば、弁護士はESIの提出形式について適切に相手方弁護士と交渉ができますから、早期での討議がどれほど重要 か、ここからもお分かりいただけるでしょう。

制裁措置

最後に、クライアントの皆様に関連するものとして、ESIを提出しなかった場合の制裁措置についてお話しましょう。今回 の改定は、「通常の業務かつ善意の電子情報システム管理行為によって失われたESIについて、それが提出されないこと を理由に裁判所が制裁を科してはならない」としています。ここで改定が取り扱っているのは、業務の一環として通常行わ れるESIのリサイクリング、上書き、削除、変更です。つまり改定は、以下のことが通常起こり得ると認識しているのです。

(1)電子情報システムそのものが、通常のオペレーションとして情報をリサイクル、上書き、変更するよう設計されている

(2)そうした通常のオペレーションを一時停止する、もしくは中断することは、大変な費用がかかる、あるいは困難を伴う

(3)電子通信を定期的に消去しなければ、いかに強固な電子情報システムといえども累積するデータ量のために支障を来 しかねない

(4)システムによっては、オペレーションを保証するため、ある種の通信を電子的にはじくようになっている場合がある

(5) プログラムそのものが、当該ESIへの最新アクセス情報を反映するために、メタデータやその他のファイル情 報を変更 する

場合がある 改定は、上記のような通常の業務かつ善意によって失われたESIを提出しないことについて「裁判所が制裁を科してはな らない」としていますが、あくまでも、それは善意で行われたものでなくてはなりません。これは他の法律問題についてもよく 見られる制限です。制裁を回避するには、特別の事情がない限り、「情報が失われたのは情報システムの通常のオペレー ションの一環としてであり、ディスカバリ逃れや、あるべき証拠保存を妨害する目的ではない」ということを立証しなくてはな りません。ですから、もし情報システムの通常のオペレーションの一環で電子情報が削除された場合、そうしたオペレーシ ョンが「業界で一般的に受け入れられるものであり、従って善意である」と主張できるようにしておく必要があります。これは 訴訟開始前後(開始後は特に)のいずれの期間についても言えるものでなくてはなりません。さらにこれは当事者のみでは なく、第三者が保存する訴訟当事者の情報についても適用されます(当事者のために、第三者がデータベースを維持、バ ックアップテープを保存するような場合)。

結論

以上の、連邦民事訴訟規則の改定の多くは、クライアントの皆様がその解釈にお困りになるようなものではありません。 しかし、下記の2点だけは十分ご注意の上、訴訟対応を進めていただきたいと思います。

・電子情報が失われた場合にも、それが善意によるものであると立証できるよう、データベースの保存は合理的に行うこ と。データベースを適切に維持していれば、関係する情報の収集上も役に立つことが多い。特に、訴訟開始後の電子文書 の削除には注意すること。

・訴訟開始後、早い段階で自分の弁護士に関連する電子情報の場所や形式を伝えて理解させ、適切な証拠開示に関する 対応計画を構築すること。

 




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